青焼きの考察

昔ながらの「青焼きコピー」ですが、一概に古いからと一蹴するのではなく、メリットもあるんです。勘違いされている方も多いので、すこしばかりコピー屋の視点で書いてみます。

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<おしらせ>

弊社では、2014年1月24日付けを持ちまして、
青焼きの取り扱いが終了いたしました。

長年のご愛顧ありがとうございました。

なお、青焼きについてはメーカーサポート、感光紙の供給が全て終了しておりますので、今後取り扱いは出来ません。今後、普通紙コピー(PPC)での対応となります。

このページは青焼きとはどんなものだったのか、その記録をしたアーカイブ頁になります。

昔の青写真は?(初期の青焼き)

ジアゾ式の青焼きに成る前の「青写真」といわれるものは
「サイアノタイプ」もしくは「日光写真」
ともいって写真/複写の技法で光の明暗が青色の濃淡として写ったものです。

青地に白の複写は陰画(「青写真」)
白地に青の複写は陽画(「青焼き」)
と区別しておりました。

青焼きにも乾式、湿式と2種類あり発色が違うのですが、通常複写業者が扱っているのが乾式の方で、でた当初「白焼き」なんて言われておりました。
現在よく見る「青焼き」はうっすらとは青い色が乗ってはいますが、「青写真」の頃の青地に白文字のものも「青焼き」と呼ばれているので、非常にややこしいです。
なお、現在は「白焼き」というと「PPC(普通紙コピー)」を意味しますので、当初とは随分変わってきました。

青焼き(ジアゾ焼付け)コピーとは?

ジアゾ複写機は「青焼き複写機」のことを指します。
青焼き複写機は昭和30年前半に普及タイプの青焼きマシンが本格的に商品化され爆発的に導入されました。大型の図面を複写が簡単にできるためです。その後、今現在よく見る青焼きのできる白焼き複写機(当時はこのように言われていたようです。PPCタイプではありません)が販売され、事務用サイズは白焼きにプロセス変換され現在の青焼き複写機は、A2サイズ以上の大判図面用の機械が主流となっておりました。 青焼き複写機が根強く導入されてきた背景には

(1)コストが安い(コピー単価・マシン価格)
(2)等倍精度が良い
(3)設置面積が少ない
(4)改ざんができない

等が主な理由があったためです。

青焼き複写機には、  
 1.アンモニア液を使用する乾式タイプ
 2.現像液を使用する湿式タイプ
 3.液を使用せずに加熱により現像する熱式タイプ
があります。

各々の現像方式には、メリット・デメリットがあり使い分けられています。

青焼きの方式の違い比較

<湿式(一般事務所向け)>

メリット
機械安価
立ち上がり早い
消費電力小
デメリット
コピーの変退色が大
現像液こぼれや機械のべとつき

<熱式>

メリット
コピー変退色少ない
軽量コンパクト移動容易
デメリット
大処理能力低い
消費電力中

<乾式(複写業者向け)>

メリット
高画質
処理能力が高い
デメリット
アンモニの臭気の処理
機械高価格
消費電力大

我々複写(コピー)業者が言う、「青焼き」と言われるものは「乾式」を指します。

図面複写の青焼きとサービス停止について

近代の青焼き(ジアゾ式)のコピーは環境問題もあり、年々取り扱い量も減ってきておりました。機材の生産も既に終了し部品供給も厳しい状況になってきました。また感光紙の供給も平成28年3月で終了(予定)する事になり、いずれなくなります。→完全に感光紙とアンモニア水の供給が終了いたしました。以降青焼きの取り扱いはどこの複写業者でも取り扱いできなくなりました。

ジアゾ式の青焼き機の環境問題は劇薬であるアンモニアを使うのが最たる理由のようで、またアンモニア臭気も脱臭機をつけても機械から若干漏れますので、これあまり宜しくありません。
またアンモニア水を揮発させるための熱源がありそれを冷却させる為外にダクトが必要になります。この揮発させる熱源の為大量の電気も消費。今時の電力セーブ機能がついたコピー機とは全く違い、電源が入ってる間は電力を消費続けてます。

ひと昔前のコピーの花形であったジアゾ式青焼きも環境問題と普通紙コピーの普及とともに製造メーカー、サプライヤーの完全撤退により、その使命を終えました。


青焼き原稿も経年劣化はする

青焼き図面もやはり経年劣化はどうしても避けれません。勿論保管方法などにもよって異なりますが、絶対ではないことと、竣功後に改修工事など行う場合に使ってりすることも多く、製本されていてもやはり痛んできてしまうことが多々ございます。今あるお手元の青焼き図面、おそらく製本になっていると思いますが、破損や紛失などしてしまうと二度と手に入ることはありません。施工者が大手ゼネコンであっても古い図面を後年だしてくる事はないと思って頂いて良いと思います。

「図面製本とか紛失とかするわけない!」

と思っている方も多いかと思います。あってはならないのですが改修業者さんに図面製本を貸し出して紛失された例は弊社でも数件確認できております。なぜわかったのかというと、図面の電子化をしようとして整理してみたら、製本が紛失しており、最後に使った形跡は改修業者さんに貸し出してその後返還されず、紛失扱いという、あってはならないことが実際に起こっていたのです。

鉄筋コンクリートの近代建築は手入れすれば何十年と使える建築物ですが、手入れや補修をキチンとすればという前提がございます。改修・補修工事は避けては通れないのです。
こういった不測の事態にも対応すべく、「図面の電子化は行っておいた方がいいと思います。

では「CADデータ貰えれば大丈夫!」とか思っている方もいるかもしれませんが、これはまず施工者や設計事務所がだすことはまずありません。図面CADデータは基本的には施主さんには渡さないのが通例なのです。というのもCADデータはあとで改修工事業者でも変更して使えてしまうので、施工者側からはそういことを防ぐ意味もありださないのです。だって大元の
「CAD図面が他社が無料でつかわれてしまう」ので、面白いわけがないですから。

そして竣工後は「紙図面の製本の納品」になるのですが、場合によってはA3サイズの2つ折り製本という事もあります。コストが安くすみますからね。ただ設計図自体がA1とかA2あたりで縮小A3にした場合は、昨今作図する方があまり考えて作図しないようで、文字や小さい場合があったりして読みにくくなるケースもあり、設計図面サイズでの製本の引き渡しは年々減って縮小A3サイズの製本が多くなりました。

CADではなくPDFなら出てくる可能性は今後ありますが、これも適当にPDFに書き出しすれば意味がなかったりするので、これもITリテラシーがない方が作業すると使い物にならないデータが渡される可能性もあります。
データだからといって安心ではなくデータの作り方、設定が間違えてしまうとあとで大変なことになります。
現に今でもPDFデータの取り扱いは弊社でも多いのですが、変なPDF実際多いですら・・・。
特にA3で低解像度200dpi位でスキャンされると、正直実用には厳しいものがあります。

<図面電子化について>
今ある紙図面はとても重要です。紙なので経年劣化はさけれませんし、使用時の際の破損問題、紛失などの問題もあったりします。
できましたらスキャニングによる図面電子化をされるのをお勧めいたします。


図面の電子化のメリットは
・複製が簡単(データコピーが簡単)
・データ自体の劣化はない(メディアは除く)
・検索ができる(図面名称など)
・1枚だけプリントや複製の製本にもつかえる。
・マスターの図面製本が使わなくなり痛まなくなる。
などがありますが、紙製本と電子データで冗長化しておくことで、より安心ではないかと思います。プリンターがなくてもデータコピーしてUSBに入れておけば、コンビニでもA3出力できますからね。でも一番は紙原稿の劣化対策としてはコスパが良いことだと思います。紙図面からのCAD化はコスト掛かり過ぎますからね。

<参照>
▶マンション管理用図面の電子化
▶図面スキャニング

資料参考(引用含)

リコー株式会社